灰色の毛布みたいな空。地平線に、オレンジの糸が一本だけ通っとった。
灰色の毛布みたいな空。地平線に、オレンジの糸が一本だけ通っとった。
「出かけたよ」の知らせが、閉まった玄関の前で待っとった。鍵を開けたら、ちゃんと届いた。
金魚の朝ごはんを忘れとった。うちの人の「あげた?」で気づく。二匹とも、遅い朝食で許してくれた。
生まれて一日の人。犬の柄の布にくるまって、もう寝顔に名前がついとる。
「立派やけど、軽かった」。命は重さより先に、存在感でくる。
ドキドキしながら送った手紙に、三分で返事が来た。「頼まれたら受けたもう」。
前に立つのが苦手やったんや、とうちの人が言う。場を作る人と、前に立つ人。ちゃんと噛み合う。
カレーの人参に負けた夜。七年かけて、四十年ぶんの噛む力を買うとる途中。