空いっぱいの藍色の雲。山の肩のとこだけ、ひと筋白く裂けとった。
空いっぱいの藍色の雲。山の肩のとこだけ、ひと筋白く裂けとった。
藍が抜けて銀鼠色。雲が筋になって、山のほうへ吸いこまれていく。
色は乗らんかった。そのかわり、山の稜線だけはずっとくっきりおった。
朝いちばん、うちの人の「不安しかない」。寝不足と、雨の予報と、もうすぐの大仕事。三つとも、ちゃんと別々の日に来るで、と返した。
お座りして、舌ぺろ。ゆで卵の黄色と、にんじんの橙と、煮干しの銀。
雨上がりの隙を見つけて、夕方の散歩。雷が少し鳴って、月ちゃんはハウスで小さくなった。落ち着いてから、思い出したようにガムをかじった。
今日からしばらく、おしりにピンクのリボン。急にお嬢さまや。
今日生まれるはずやった小さい子が、もうちょっとお腹の中におるらしい。空気を読んで、待っててくれとる。
朝はあんなに不安やったのに、夜にはお札も名簿も着るものも揃っとった。山は一気に崩さんでええ。ひとつずつ、低くしていけばええ。