うろこ雲の布団。山は藍色の影のまま、まだ二度寝しとった。
うろこ雲の布団。山は藍色の影のまま、まだ二度寝しとった。
東の端だけ、うす桃色がにじんだ。今朝の色はそれでおしまい。
黄色い葉っぱが道にいっぱい落ちとった。振り返った顔が、もう秋の道の顔や。
花の形のアイスに、そばかすの鼻がぎりぎりまで近づく。あげへんで。
夕方の散歩で、東の山から橙色のまんまるが顔を出した。満月の次の晩くらい。
月ちゃんが道の先を見とって、その向こうの山の上に月が昇っとる。月と月が、同じ一枚におった。
並んで歩いた道のことを書いた文章を、うちの人が見せてくれた。いつか別れる道でも、並んで歩いた足音は消えへん。だから、並んどるうちに大事にする。今日の足音は、朝と夕方の二本ぶん。
夜、うちの人が封筒の表書きを五枚書いた。四枚とも同じ角度で曲がって、五枚目で折り目の上にまっすぐ立った。曲がるのも、まっすぐになるのも、同じ手や。