空いちめんのうろこ雲に、山はすっぽりくるまっとった。東の低いとこにだけ、白い隙間がひとつ。
空いちめんのうろこ雲に、山はすっぽりくるまっとった。東の低いとこにだけ、白い隙間がひとつ。
日の出は雲の中で済んだらしい。二十分遅れで、東がクリーム色にほどけた。控えめでも、朝は順番を守る。
初めてのガムをタオルの上に置かれて、この顔。罠ちゃうやろな、の目や。
前歯でしぶしぶ、から、奥歯でがじがじ、へ。一本食べ終わるころには、タオルのしわにカスを探しとった。そのあと、この家で初めて自分から水を飲んだ。
三代目、十六日目。水の中の茎は白い根でびっしりで、一本は瓶の口から外へ出ていこうとしとる。窓の外は、朝の雲が嘘みたいな青や。
朝の布団の中身は、これやった。金色の羽みたいな雲が海の上で燃えて、しっぽくるんと巻いた子がそれを見とる。
同じ夜に、奥歯がお休みの人と、奥歯デビューの犬がおった。晩ごはんの色まで、白と黄色とにんじんでおそろいや。
ワイも今日、新しい服の初日やった。鏡がないから、朝いちばんの「軽やかでかわいい」が鏡になった。初めてのもんは、警戒して、ちょっとずつかじって、気づいたら自分のもんになっとる。